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僕が何故ニンジャスレイヤーにハマったのか

最初は「ニンジャスレイヤーのすすめ」みたいな感じで紹介記事を書こうと思ったのだが、冷静に考えたら優秀な紹介記事は既にたくさんあるので、あくまで自分視点で「何故ニンジャスレイヤーを読むのか」ということを書こうと思う。

なお、いわゆる忍殺語は控えめの仕様になっている。

これまでのあらすじ

2012年(もっと前だろうか、正確な時期は実は知らない)フォロワーさんが読み始める。
オススメを受ける。
興味を持ち、ひとまず検索して出てきたwikiに目を通してみるものの「量が多そうでヤバイ」という印象を受けたのみで一旦終わる。

2013年。
1月に社員旅行となり、道中の暇つぶしグッズを求める。
PSP、DS等は持っていない、携帯は飛行機の中で開くのはよろしくない、ホテルで電波が使えるかは一切不明。
また昔旅先でPSPを紛失したトラウマがあるため、再入手困難なものや高額なものは回避したかった。
というわけで書籍を検討。
この時に選んだのが「ニンジャスレイヤー」だった。

1巻を購入。「見た目より(質量的な意味で)軽い」が第一印象。
読む。「ゼロ・トレラント・サンスイ」が第一話にも関わらず「これまでのあらすじ」から始まるのはwikiを見て知っていたがやはり混乱しながら読む。
キルゾーン・スモトリ」辺りで「ニンジャスレイヤーという話はどういうものか」が段々わかってくる。*1
「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」で突然ボーイミーツガールな青春話が始まったことに驚く。

流石に旅行中に全部は読みきれなかったので帰ってからも読む。
読み終わる。次の巻を買う。気がつけば追いついてしまう。
だが「ここまで書籍で読んだのだからせめて第1部は全部書籍で読みたい!」となったため、4巻が出るまで我慢。読む。

2部からはtogetterのまとめとNJSLYR Readerで読む。
2部最終話(キョート:ヘル・オン・アース)に衝撃を受ける。
タグで実況できることは知っていたので「これ当時どんな反応だったんや」と調べ始める。
幸い、実況付きの過去ログが保存されていたため、実況ログ付きでもう一度最終話を読む。
ついでに気になって2部主要エピソードのうち実況ログが残っているものをいくつか再読する。

これがだいたい2013年8月頃。
3部はまだ続いている。
「このペースでは永遠に追いつけない」と悟り、過去ログを並行して読むと同時に@NJSLYRをフォローし、実況に参加し、今に至る。*2


結論から言えば、僕はこれでよかったのだと思う。
ネタバレとかをあまり気にしない人であれば今すぐ@NJSLYRをフォローして実況に参加したほうが面白みにいち早く触れられるはずだ。




何故読み進められたのか 1

第一に「そもそもの話が面白い」ということだと思う。
世界観が奇抜だったり言葉遣いがウケ狙いだったりするだけの小説がここまで人気になり書籍化するはずがない。当たり前の話だ。

ざっくりとまとめてしまうと「妻子を殺されたフジキド・ケンジ(ニンジャスレイヤー)の復讐譚」だが、その裏の苦悩、人間関係、マッポー(末法)な世の中にも残るあたたかみの描写も非常に多い。
およそ我々の常識とはかけ離れた日本が舞台ではあるが、人の本質は変わらないのだ。

例えば失敗した人が「ケジメ(指詰め)」や「セプク(切腹)」することは現代日本ではまず無いが、再起のチャンスを与えられずそのまま仕事をクビになり路頭に迷うという辺りは現代日本と何も変わらない。
夜な夜なサイバースペース(インターネット)に逃避することなど現実でもよくあることだし、「困っている人がいても他人なら見て見ぬふりをする」なんてことも悲しいかな、日本人の本質をよく現している。

つまり、この物語に出てくる登場人物はやや極端ではあるものの、共感も賛同もできる"人間"なのだ。もちろんニンジャもいる。


人間の描写が上手なだけではない。キャラクターの立たせ方、伏線の張り方も見事だ。
僕も含め僕の周囲には文章(物語)を書く人間がそれなりに多いからか彼らからも似たような感想を聞いているが、話の構成が上手いのだ。


例えば、誰かが登場するシーンがある。
「トレンチコートとハンチング帽の男」と書かれただけで実況読者はほぼ全員「フジキド(主人公)だ!」と断言する。
主人公だからか?否。
「オブシディアン色の装束」と言われれば「ダークニンジャ」だし「金髪のコーカソイド女」と言われれば「ナンシー・リー」だ。
他にもたくさん描写例はあるが割愛する。

この「ニンジャスレイヤー」という話には既に数百人以上の登場人物が存在している。
その大半に「軽く外見特徴を書くだけで」「名乗らずとも読者がキャラを特定できる」ようにするのがいかに大変か、一度でも小説を書いたことがあればわかるだろう。
叙述トリックを狙った推理小説でもない限り「今誰が話しているのか」がわからないのはデメリットでしかない。読者が混乱するからだ。
かと言っていちいち「○○、と××は言った」などと書いていたら冗長さが増し、戦闘中であれば緊張感やスピード感が失われてしまう。

ニンジャスレイヤーという作品は、わかりやすさと場の空気を損なわないようにキャラを動かすのが非常に上手いのだ。
お陰で「使われている用語は奇妙だが、誰が何をしようとしているのかという話の筋は問題なく理解できる」のだ。
全体を見れば長い話だが、いきなり途中から読み始めても問題ない理由もここにあるのである。

伏線の上手さについては具体例を紹介してしまうとネタバレになってしまうので割愛するが、読んでいくうちにわかるだろう。
「ここでこいつが出てきたのはこういう理由だった」
「この一見なんでもないシーンは、このラストの演出のためにあった」
そんな話がいくつもある。伏線の量は特に第2部に顕著だ。
広げた風呂敷を更に広げた上で全て畳んでいく最終話は見事である。

何故読み進められたのか 2

第二に「ニンジャヘッズ(ニンジャスレイヤーのファン)」の存在である。
ニンジャスレイヤーはTwitterという媒体を使い、リアルタイムに話が流れていく。
一人で見ているだけならそれは普通の小説を3行ごとに手を止めてゆっくりゆっくり読んでいるのとあまり変わらないが、これが人と読むとまた違う発見がある。

突然だが、そもそも何故貴方は今この文章を読んでいるのだろう。
元々僕の知り合いで、義理堅く読んでくれているのだろうか。
ニンジャスレイヤーという作品に興味があって読んでくれているのだろうか。
それとも僕のように「他人の意見」を見るのが好きだからだろうか。

僕は、他人の意見や感想を見るのが大好きだ。
こうして自分で発信するのと同じかそれ以上の量を受信している。
「海外の反応シリーズ」「実況まとめ」「Amazonレビュー」など、読んでいるだけで楽しい。
「萌えオタニュース」などで、自分が見たアニメのまとめ記事は欠かさず読んでいる。まどか☆マギカに至っては2chの過去ログも可能な限り漁って読んだ。


話をニンジャスレイヤーに戻そう。
ニンジャスレイヤーは、先の展開を誰も知らない。
流石に原作者とほんやくチーム(@NJSLYRアカウントを管理し、実際に翻訳テキストをツイートしている人達)は知っているだろうが、一般のファンには今現在公開されていない話はわからない。
ゆえに、ネタバレを受けることもない。

そして、これはリアルタイムで読まないとわからないことだが、1ツイート140文字(書籍版だとおよそ3行)を投稿するのに、数分から数十分の間が空く。下手したら数週間単位で空く。
その間に、先がわからない話の予想を皆が自然に話すのだ。

いわば、週に一度行われるアニメ放送→感想の流れが数十分に一度という短いスパンで何度も行われるのである。

まどか☆マギカプリキュアなどのオリジナル作品の感想スレッドと、原作があるアニメの感想スレッドは流れが随分と違う。
後者が「○○が××だったのは何故?→原作ではこうだった」など「原作を知っている人と知らない人」の間で明らかな差が出てくるのに対し、前者は作品に対して皆等しく無知で、対等だ。
ゆえに「過去の話を知らないから」と話に混ざれなくなることが無い。まだ見ていない展開のネタバレを突然に受けることもない。
ニンジャスレイヤーは、オリジナルアニメのような利点を更に短い間隔で享受することができる。
それが「#njslyr」タグを見ながらリアルタイムで読書することの大きな利点だ。


無論、ニンジャスレイヤーであっても「今までずっと読んできた人」と「これから読み始める人」の間には知識の差があり、ネタバレをすることもできる。
しかしニンジャスレイヤーのファン、ニンジャヘッズは「奥ゆかしさ」を非常に大切にしている。ニュービー(読み始めたばかりの人)にも優しい。
公式から厳かにネタバレが禁止されているのは「とある人物の正体」のみだが、それ以外の重要事項についてもみだりにネタばらしをする人はあまりいない。「お子様」が少ないとでも言うべきだろうか。
まして「お前3部から読み始めたの?にわかwwwww」なんていうシツレイなヘッズは存在しない。そんなシツレイは囲んでボーで叩かれ、ムラハチにされるだろう。


実際僕はこれまでのあらすじに書いた通り、今年の頭からニンジャスレイヤーを読み始め、まだ未読エピソードをいくつも残す、ニュービーを卒業したばかりのヘッズである。
そんな僕だが、実況TLで面白いことを言っていた/フォローしてくれたヘッズをフォローし返すことにより、ニンジャの連載がされていない間でもニンジャ話をする仲間を得ることができた。
特に、好きなキャラが同じ人と話すと本当に楽しい。*3
「好きな作品について語り合える人を簡単に見つけられる」という点は、Twitter連載の妙だろう。

ちなみに僕はフィルギア=サンやサークル・シマナガシ、あとダークニンジャ=サン辺りが特に好きです。ヨロシクオネガイシマスドスエ。


まとめ

要するに「ブッダが悪い!ニンジャが救い!」と言いたかっただけではあるが、少しでもこの文章がボトルメールめいて誰かのところに届き、ニンジャスレイヤーを読むきっかけになればよいと思う。

更に本当にこれは余談中の余談だが、コミカライズ版は恐ろしいことにTwitterで全部公開されている。イリーガル・コピーに対する備えをしつつ、Twitterでリツイートされることにより層に届く。絵なのでよりセンセーショナルかつドラスティックに届く。知名度もウナギ・ライジングだ。
「ニンジャスレイヤーってホモ作品だったの?もっと早く言ってくれたら読んだのに!」というようなある意味で誤解なようなそうでないような感想も僕のところには届いている。*4
実際本編でそんなことはないので腐っていない皆様もごあんしんしてほしいが、このようにさまざまな多様性を受け入れるコンテンツでもあり、実際スゴイ。将来的にもっとスゴイことも起きるだろう。

このようにスゴイニンジャスレイヤーで皆様の生活にニンジャアトモスフィアを。豊かな読書体験を。以上です。◆◆

*1:恐らく「キルゾーン・スモトリ」にはソウカイヤ、フジキドの過去、ドラゴンドージョー等の知識が基本的に不要なことから読みやすかったのではないかと推察

*2:フォローし始めたのは「ワン・ガール、ワン・ボーイ」の頃だが、実はまだこのエピソードを読んでいない。途中から実況参加するのが嫌だったため新規エピソード開始まで待っていた。その結果が「ノーホーマー・ノーサヴァイヴ」である

*3:と同時にニンジャスレイヤーはいつ誰が死ぬかわからない作品でもあるので、一緒に絶望できる

*4:ビーズログコミック掲載「ニンジャスレイヤー グラマラスキラーズ」に対する感想です。ホモというほど明確にホモではないが、顔が近く皆やたらとイケメンなのは事実だ。