テキスト(カラテ)メイキング
ブログとかの文章ではなく、小説(二次創作)の文章について。
文章にメイキングも何も……という感はあるかもしれませんが、以前Twitterでそのような話題が出ていたので、少し書いてみます。
書いたら滅茶苦茶長くなってしまいました。ご容赦ください。
今回はTwitterに投下したニンジャスレイヤー二次創作「ニュー・デイズ・ムーブ」および、
らせんさんのテキストカラテ・エクササイズ企画に参加した際に書いた「ストーキング・シェイド、ライク・ア・シャドウ」をメインに書いていきます。
(他、最近の文章はPixiv(ほぼホモ)、privatter(フォロワー限定公開・ほぼホモ)、テキストまとめ(ほぼホモ)にあります)
1.ネタ決め
何を書くか、を決めます。テーマ決めです。
僕の場合ここで「誰」を書くかを決めてもだいたい上手くいかなくて投げてしまうので、「何」を書くかを決めてしまいます。*2
最近は140文字お題ったーさんにキャラ名を入れて「おっこれは書けそう」って思ったものを書いたり、TLで見かけたネタから話を広げることが多いです。
ニュー・デイズ〜についてはデストラップ連載中辺りから「シマナガシの過去……過去話……そこに至ったとうとみ……とかそういうのを……なんかしたい……」と思っていて(本当にこのレベルのぼやっとした動機で書き始めます)
ストーキング〜については「アッアッらせんさんの企画だ、えっとフジキド登場させて爆発四散させればいいんだね!わかった!」とかそんな感じです。本当にふわっとしてます。
2.キャラ・世界観設定
人狼やROの二次創作*3やオリジナルキャラを登場させる場合や世界観から構築する場合は書き始める前に話の中での役割や性格、口調など最低限のところを決めておきます。
と言いながらストーキング〜では即興性が求められていたので*4、その最低限の口調すら決めていません。
◇白◇
テイザー:特殊ピストルカラテの使い手。彼の放つ弾丸には高電圧がかかっており、相手を痺れさせ、その間にカラテで殺すという戦法を得意とする。
◇筍◇ #njtke
— イフリートさんの明日を見つめるシロBOT (@siro_xx) 2014, 2月 9
エクササイズ0、敵ニンジャの「テイザー」は概ねこんな経緯で決まってます。「すぐに(ノー資料で)書けるのはペケロッパやコトダマ空間系ニンジャだけど、すぐ書けるものを書いていたら練習にならないのでは?」
「そういえば銃系の資料持ってたしそういう系にするか(広げる)(テイザー銃というものを見つける)(よしこれでいこう)」
それから一応Wikipediaでテイザー銃とはどういうものかを最低限確認し、後は「テイザー ニンジャ」でググって既存ニンジャに同名キャラがいないことを確認したくらいです。なので設定は殆ど何も書いてないようなものです。
3.書きたいものの肉付け
1で決めた「ネタ」をもう少し具体的にします。書きながら思いつくこともありますが、大体書く前に決めます。
ニュー・デイズ〜についてはこれだけは書く前に決めてました。
- アナイアレイターとスーサイドを喧嘩させる
- その流れでルイナーとスーサイドに会話させる
- 同様にフィルギアとアナイアレイターに会話させる
- エンガワ・ストリートのアジトを作る
- シマナガシの名称提案をスーサイドにさせる
- フィルギアに(この部分は最終的に続編に持ち越しになったので伏せます、が、ここが過去話の中で一番書きたかった部分でもありました)
ストーキング〜については肉をつけるより前に骨(主人公登場→敵登場→フジキド登場→敵爆発四散→エピローグ、という流れの軸)があったので、その流れから大きく外れないことだけを意識して、とりあえず書き始めます。
クルミ、という人物名を出した時点では本当にツイート1に書かれた「あんまり美人じゃないけど若くて豊満」ということしか決めていませんでした。
その後数ツイートかけて「何故そんな女性がコメダ・ストリートで一人暮らしを始めることになったのか」という設定の肉付けをリアルタイムで行っています。
この時点で、
これからどう敵ニンジャ絡むんだよ…俺少しは考えろよ……
— イフリートさんの明日を見つめるシロBOT (@siro_xx) 2014, 2月 9
テイザーが全然関係なくなっていることに気づき、頭を抱えます。
4.冒頭を書く
冒頭を書きます。ニュー・デイズ〜についてはニュー・メッセンジャー〜の続きの話と決めていたので、割と楽でした。
ストーキング〜については主人公登場が冒頭になります。
それ以外、下地になるものが特にない場合。
二次創作の場合は最低限「誰」が喋っているかさえ提示できればいきなり会話文から入ってもなんとかなりますが、世界観説明が必要な物語の場合は極力背景描写からするようにします。忍殺(原作)は情景描写から入ることが多いですね。
書きたいものが「オチ」に相当する部分である場合などは、冒頭にその「オチ」に繋がる話を持ってくるという手もあります。(いきなり起承転結の転結の一部をチラ見せしてからタイトル→起の部分に戻る感じ。忍殺だとゼアイズの#0とかが該当すると思います)
5.本文を書く(1:書きたいものが書けない場合)
冒頭から繋がるように文章を書いていきます。最初から「140文字以内」とか決まっていない限りはだらだら書いていいと思います。
キャラがしっかり立っていれば書いているうちに脳内でキャラが勝手に喋りだすのであとはそれを黙々とアウトプットする機械になればいいのですが、そうでない場合も多々あります。
ニュー・デイズ〜は「アナイとスーサイドの喧嘩の原因なんだよ」で詰まりましたし、ストーキング〜は「テイザーはクルミにどんな違法行為するんだよ」で詰まりました。
そういう場合は一度引きます。イメージ的には、キャラに近づきすぎたカメラをぐっと引いて背景を映す感じです。
ニュー・デイズ〜(シマナガシ)については、「アナイアレイターが短気である」ことがフィルギアの台詞で示されています。彼の原作内の行動も実際短気です。そしてスーサイドは多くの場合、それを止める立場にあります。
止める立場にある人間と喧嘩する場合、「何らかの意見や価値観の相違」「相手への直接的な侮辱」などになるはずです。
(第三者を巡っての喧嘩は中々起こりにくいでしょうし、そもそも巻き込まれる第三者がいません。ルイナーを巻き込んだらルイナーに殴られて終わりです)
また、アナイアレイターは短気ではありますが節々で「なんだかんだで良い奴」であることが描写されています*5。この時点で「取っ組み合いの激しい喧嘩」ではなく「ちょっとした言い争いレベル」に収まることが予想できます。
(そもそも最終的に仲間になるという未来に繋げていくための過去話なので、人間関係が決裂するレベルの喧嘩はできません。彼らはニンジャなので本気で殴り合ったらどちらかが死んでしまいます)
余程原作設定ブレイクとかの無理のある二次創作をしていない限り、キャラの背景に注目すればそのキャラが取りうる行動、選択肢、発言などは見えてくると思います。
その上で必要があれば設定を捏造します。
(ホモい二次創作であれば「原作であのキャラに対してああいう行動を取った」「あのキャラとは親友という設定がある」という背景から、「あいつはあのキャラのことが好きなんだ」という設定捏造です)
今回はアナイアレイターに「身内が自殺している(≒自殺という行為そのものに良い感情がない)」「仲間を殺している(≒仲間を傷つけることに苦い思い出がある)」という設定を捏造しています。
ストーキング〜については、クルミに対する違法行為をすぐに思いつけなかったので、
「クルミに違法行為を働こうとするヨタモノに違法行為をする」という面倒くさい二重構造をとりました。
数を殺しておけばWasshoi!ポイントが溜まるだろうという安直な発想です。
ところがその安直な発想のせいで「こいつヨタモノしか殺してないしどうやってフジキドに殺忍させよう…」と悩み始めてしまったので、「何の落ち度もないクルミを最終的に殺害しようとする」方向に舵を切りました。
主人公がようやくピンチになったのでフジキドのエントリーです。
しかし「Wasshoi!」できそうになかったので、比較的静かなエントリーとなりました。
この時点で「これはもしかして暗黒非合法探偵案件では?」となり、殺忍動機付けも「依頼人がいる」という設定が追加されました。
テイザーに「元・ストーカー」という設定がついたのも、ツナミ=サンの名前を出した後です。
行き当たりばったり万歳。
6.本文を書く(2:何を書くべきか迷った場合)
引き続き本文です。
さて、ニュー・デイズ〜では無事に(?)喧嘩をして、アナイアレイターが退出し、スーサイドとルイナーが二人きりになりました。
さてようやく書きたかったルイナーとスーサイドの会話シーンです。まずは……。
「……何喋らせよう」
……となった場合。
こういう場合も落ち着いて背景を見ます。そして、次に繋げたいシーンを確認します。
最終的に仲直りしてほしいので、このシーンは当然それまでの繋ぎとなります。
一番ストレートなのは、ルイナーに「仲直りしろ」と言わせることです。
でもこの話はそれだけでは足りない。スーサイドとアナイアレイターが喧嘩して仲直りするだけではスーサイドが「シマナガシ」の一員になる話にならないのです。ルイナー、そして、フィルギアとも仲間であることを確認するイベントが必要です。
なのでああいう形になりました。ルイナーは一言も仲直りしろとは言っていません。
ただ「俺はこう思ってる、お前はどうだ」と示し、スーサイドが自分の意思で謝る、という展開へと繋げられるようにしています。
7.オチを書く
先に言いますが、僕はここについては未だに良いやり方が見つかってません。(なんかぶつ切りみたいな終わり方になることが多い)
書きたいことを書き終わったら話を終わらせます。
余韻が残るような書き方をしたいのですが……未だに手探りです。
その点ニンジャはポエットな終わり方をすることが多いのでスゴイですね。原作者=サンのワザマエが光ります。
ストーキング〜は「主人公のその後」を書くことで〆です。
なんとか無傷で生還したクルミちゃん、この生活力なさそうな子これからどうするねんと思ったので迎えに来てもらいました。
男が来るのは違うかなーと思ったので(恋人がいたらこんな地域に一人暮らしせぇへんやろ、みたいな)、おばあちゃんです。
「頼れる親戚がいるなら先にそっち頼れよ!」っていう突っ込みどころには「田舎だからイヤだった」というアンサーをつけて地の文で描写しています。
冒頭シーンをまるで回収していないことに気づいたので、ラストで「下の部屋にいたのは実はフジキドだよ」オチをつけました。暗黒非合法探偵行為のために空き部屋で張り込んでたんでしょうね。たぶんね。住んでたわけではないと思います。
ニュー・デイズ〜については書きたいことは未消化です。スーサイドがシマナガシの名を提案し、それに皆が同意したシーンを書いた瞬間に「あ、この話これ以上続けるよりここで切ったほうが綺麗だわ」と気づいてしまったので、そこで〆ました。
前半がゆったりしていたのもあり、ここからイクサのシーンにもつれこむよりは全体的に「シマナガシカワイイ」でまとめてしまったほうがよいね、という感じです。
8.読み返し(軽い推敲)
最初から読み返します。可能なら声に出して読みます。台詞も?台詞もだ!
この段階ではあからさまな誤字脱字、あとは日本語として読む場合に引っかかる場所の修正しか行いません。
意味が曖昧な単語は必ず辞書を引いて意味を確認します。*6
この作業を終えた状態のニュー・デイズ〜がこちらです。
そもそもまだ140文字にすらなっていません。
ストーキング〜では「投稿直前にもう一度本文をざっと読む」作業がここに当たり、これ以上の修正はありません。
この時点で多くの誤字脱字を修正してはいますが、割と致命的な誤字が残った*7りするので、推敲と読み返しはできる限り複数回やるべきだと思います。
9.冷却
テキストエディタを閉じます。可能なら一晩寝ます。
10.推敲
頭が程よく話を忘れたところでもう一度読みます。気づかなかった誤字脱字がボロボロ出てきます。
また、ここで話の構造にも手を入れます。「ここのモノローグはもっと短くていいのでは?」とか「この台詞に対してこの地の文では説明不足ではないか?」「この展開に至るならそれ以前にフラグを立てておくべきでは?」みたいな感じでガンガン加筆修正します。
ニュー・デイズ〜に関してはスーサイドの「孤独」についての地の文の言及追加、最後に唐突に出てきた『シマナガシ』を#2の時点で存在だけは提示しておく、などの修正がありました。
140文字分割はこの段階で行っています(ぬん=サンのテキストカラテツールには本当にお世話になってます)
元々テキストカラテ風味に書いていたので、分割に関しては「話の区切り」を重視してやっています。必要ならば表現を変えつつ。
ストーキング〜でこの作業を行ったのは投稿後にまとめていただいたものを他の方のものと一緒に再読した時ですが、
何も考えてねーのがよくわかるわ
・タマゴスシをエピローグで回収してない(そもそも全中男に出会った時点で落としておくべきだった)
・フジキドのバトウがキレてない
・24のフジキドのセリフは「〜間近で見てきた。オヌシは未熟だ」にするべきだった(要字数調整)
— イフリートさんの明日を見つめるシロBOT (@siro_xx) 2014, 2月 9
・テイザー銃である理由が全くない(せめてテイザーの過去に元マッポとかそういうのを入れるべきだった)
・全体的に表現の推敲が甘い
こんなところかな 即興モノを自己反省してたらきりがないのでやめておこう
— イフリートさんの明日を見つめるシロBOT (@siro_xx) 2014, 2月 9
とか、もう後から後から出ます。推敲せずに投稿するとこんな荒っぽいんだなと痛感した感じです。
11.タイトル決め
だいたい投稿直前に内容を見て決めることが多いのでここに持ってきましたが、「ニュー・デイズ・ムーブ」は書き始める前に決定しています。
脳内で考えていた時点では「デイズ・オブ・シマナガシ」とか「ライズ・オブ・シマナガシ」とかだったんですがどちらも原作のタイトルと被るのでボツ。
シマナガシの名前決めも含みたかったのでシマナガシという単語も意図的に外して、「なんかこう……日常……いや……スタート地点の……日常の始まり……そういうイマジナリ……」とか考えながらgoogle翻訳さんやExcite翻訳さんと相談して決めました。(英語苦手)
「ストーキング・シェイド、ライク・ア・シャドウ」(影めいて陰を追う)ですが、
ストーカーであった(という設定にされた)テイザーの行動そのものを指してもいますし、暗黒非合法探偵フジキドが事件の陰を追うという意味も含まれています。(シャドウには刑事、スパイなどの意味もあります)
ダブルミーニング大好きマンなので思いついたらどんどんします。文法は苦手ですが!
でも基本的にタイトル考えるの苦手なので、下手するとここで本文より時間が掛かります。本文ができてるのにタイトルが浮かばないから投稿できないとかホントよくあります。
12.投稿
十分に推敲したら投稿します。
ぷらいべったーやPixivに投げた小説の場合、投稿後に読みかえして更に修正することもありますが、一度出してしまったらもうあからさまな修正はしないようにします。
とまあ、こんな感じです。後はジャンルによっては以下のようなことを重点します。
- 登場人物が「泣く」、或いは読者を「泣かせる」ことを目的とした物語では本当に自分も泣けるか
「自分が泣けないもので他人を泣かせられるわけねーだろ」が信条ゆえ、ここら辺は特に気にしています。
また「泣きながらの台詞」がある場合は実際に泣きながらその台詞が言えるか?(特に感極まってる時はある程度言葉は詰まるのが自然です)とかの確認もします。このための独り言環境でもあります。
- 身体の動きに不自然はないか
ここはまだ研修中です。主にバトル描写において、この動きをした直後にこう移動するのは無理だろう?とか、ここを負傷しているキャラはこの動きはできないのではないか?とか、そういう辺りです。
……ニンジャは超人なのである程度なんとかなってしまうのですが、普通は腕の骨1本イったらかなり動きが制限されるはずです。
- 喘ぎ声がループしていないか
エロ話の場合。ぼーっとしてると3行上と全く同じ喘ぎ声になってたりするので、うまいことなんかします。
エロじゃなくても、負傷時の呻き声とかもそうですね。使える言葉が制限される分、なんとかバリエーションを確保したい。
話が長くて申し訳ない(これも自分の文章の課題です)。テキスト(カラテ)メイキングについては以上となります。
僕は皆さんがどうやってテキスト書いてるのかってことにも興味がある(そしてあわよくば吸収しようと思っている)ので、是非なんかしてください。よろしくお願いします。ではでは。